強みを活かした組織づくり・経営ってそもそも何!?③
ここ最近、組織開発系のコンサルティングでハードな現場が続いています。
ハードな現場とは、一言で言うと「組織の状態が悪い」「何をどうすれば良いか解らない」という状態がほとんどで、とてもくらーーーーい雰囲気になっています。
お客様側は即効性の高い解決策を求めてくるのですが、そんなすぐに解決できるような特効策は無い!(むしろ、特効策があるのなら、何故今までそれをしてこなかった、、、)ことから、お客様の望む時間軸と私の考える時間軸をすり合わせしていくのが大変だと感じているところです。
さて、前回のブログでは、
価値観が合わないこと、苦手と思うこと、やりたいと思えないことではなく、「やりたいと思えること」「得意と思えること」「自分がその役割を演じきれると思うこと」を担当してもらうのが、強みを活かした経営に重要である。
とまとめました。
経営学の権威であるアルフレッド・チャンドラー氏は「組織は戦略に従う(経営戦略に従って、組織構造も変革される)」という考え方を示されました。
私も好きな言葉で、コトあるごとにこの言葉を使ったりしていますが、「強みを活かした組織づくり」を考える上で必ずしも正解ではない、と感じています。
よく「クレド経営が重要!」「ビジョンが大事!」と言われましたが、多くの場合そのアプローチは「経営層⇒従業員」という流れだったのではないかと思います。
この場合、経営層が立てたビジョンを実現するために、組織が役割分担を果たしながら実現に向かってアクションを起こしていく、、、要するに「組織は戦略に従う」となるわけです。
一方で、従業員数が限られた中小企業の場合はどうでしょう?
・立てられた戦略を実現できる(知識・経験・技術など)社員はいるのか?
・戦略を実現するために十分な社員(社員数・組織体制)はいるのか?
・立てられたビジョンは社員が目標とするのに値するものか?
事業計画や経営計画の作成を優先して進めた場合、こんな問題が起こってしまいます。
外部コンサルタントなどを交えた場合、経営層の想いを優先したことで、従業員側の考え方や目線が反映されず、結局「絵に描いた餅」になってしまったー!ということも起こりうるワケですね。
これらには、「ある程度答えが見えているビジネスモデル」と「今後を創造しながら開拓しなければならないビジネスモデル」との違いがあるように思います。
具体的には、経営上の重要なテーマが「生産性向上・コストダウン」などであれば、トップダウン型の組織づくりが適していますが、「市場創造・付加価値創造・新商品開発」などの場合、ボトムアップ型も取り入れた組織づくりが重要になってくる、といった感じですね。
もう少しイメージしやすくするために、「市場創造・付加価値創造」型のビジョン作成イメージ図を示します。
図から解るように、ここでも「人材力」「組織力」「関係力」の組み合わせで、経営ビジョンを作ると良いですよー、といったことが示されています。
で、とても重要なのが「経営ビジョンは経営者層と従業員層の双方向で作られる」という点。
なんとなくイメージしにくいと思いますので、スポーツで例えます。
過去、阪神タイガースの暗黒時代に野村監督は「F1セブン」というチーム作りをしました。
コンセプトとしては、「とにかく走れるバッターを上位に並べ、盗塁を積極的に仕掛け、得点機会を増やそう」というものです。
これは、「F1セブン」という組織づくりが最も強いということを意味しているわけではありません。
「絶対的エース不在」「ホームランバッター不在」「アベレージヒッター不在」という厳しいチーム環境の下で、今いるメンバーで成果を挙げるために打ち立てられた戦略になります。
また、その時期に「遠山投手・葛西選手のダブルストッパー」という仕組みも作りました。
普通の野球チームでしたら、ゲームの最後にクローザーと呼ばれる絶対的な投手を立てて、確実にゲームを締めるという流れになりますが、その当時の阪神タイガースに絶対的な投手がいなかったことでの対応です。
遠山選手は左バッターに強く、当時の松井秀喜選手との対戦成績も素晴らしい成果を挙げていましたが、右バッターに対しては弱く、安定した成果を挙げられないという悩みを抱えていたのです。
葛西選手も同様で、一人で1イニングを任せるには不安のある状況でした。
「1人で成果を出せないのなら、2人で成果を出せば良い」
野村監督はそう考え、遠山選手・葛西選手に1塁の守備練習もさせ、相手バッターに併せてイニング中に何度も投手交代をするという戦略で成果を積み重ねていったのです。
(なお、阪神タイガースはその時も最下位継続中でした、、、なかなかドラマみたいにいきませんね(T_T))
前回のブログで「その役割を演じきれるか」が重要だと書きましたが、「誰が」「どの役割を全うするのが組織として最も効果的か」を見極めつつ、戦略を打ち立てていくことが、強みを活かした組織づくり・経営に重要であるというイメージかなー?なんて思います。
来年度に開催するセミナーでは、そんなエッセンスを交えつつ、人の強みや個性の見極め方、誰にどういう役割を演じてもらうのが良いか?なんてことをお話できればと思っていますので、お楽しみにー!
そんなの待てない!早く知りたい!というせっかちさんは、当社の組織開発・チームビルディングコンサルティングサービスをおすすめします ←ここ、営業で超重要です!(通算4回目)