2024年11月18日、少し肌寒くなり始めたこの時期、林業に携わる現場では本格的な冬を前にした準備が進んでいることでしょう。特に安全対策が重要な林業の現場では、季節に応じた労働環境の変化への対応が求められます。このような背景から、今日は林業労働災害をいかに減少させるかという重要なテーマについて考えていきます。

林業は国内でも労働災害発生率が高い産業の一つであり、都道府県職員として地域の林業を支える皆様にとっても重要な課題です。今回は森林・林業白書（令和5年版）から取り上げた事例をもとに、具体的な取り組みをご紹介します。

トピックの紹介

林業現場における安全衛生管理の取り組み：奈良県の事例

森林・林業白書（令和5年版）第3章第4節には、奈良県における林業安全対策の取り組みが詳述されています。この事例は、労働災害の減少に向けた先進的な取り組みとして注目されています。

取り組みをはじめたきっかけ
奈良県では、伐採作業中の事故や機械操作に関連する災害が後を絶たない状況が続いていました。これに対応するため、県と地元の林業団体が連携して、労働安全衛生管理の徹底を図るプログラムを開始しました。

具体的な取り組みの内容

1. 安全研修の義務化
   すべての林業従事者を対象に、年2回の安全研修が義務化されました。研修内容には、伐採技術の向上だけでなく、安全装備の適切な使用方法や危険予知トレーニング（KYT）が含まれています。
2. デジタルツールの導入
   GPS搭載の作業監視システムや、作業計画を共有するアプリケーションが導入されました。これにより、リアルタイムでの作業状況確認が可能となり、事故発生時の迅速な対応が実現しました。
3. 安全装備の普及支援
   県が補助金を提供する形で、最新型の安全装備（ヘルメット、チェーンソー防護パンツ、視覚および聴覚保護具）の購入が促進されました。特に若手従事者には、初期費用を抑えたセットが提供されています。

取り組みを通じて感じた課題
安全意識の向上には一定の成果が見られる一方で、小規模事業者への普及率の低さが課題として挙げられました。また、従事者が高齢化する中で、重い安全装備の使用を嫌がる声も聞かれます。

取り組んだ結果得られた成果
奈良県の取り組みによって、過去3年間で労働災害件数が20%以上減少しました。さらに、従業員満足度の向上や、若手人材の定着率アップという副次的な効果も確認されています。

今後の展望
今後は、小規模事業者向けの支援拡充や、高齢従事者にも使いやすい軽量な安全装備の開発が求められています。また、VRを活用した安全訓練プログラムの導入も検討されています。

簡単な一言

株式会社ピースマネジメントは、林業労働の安全向上を目指したこうした地域の取り組みを応援しています。未来の安全で持続可能な林業に向けて、一緒に考えていきましょう。